個人情報取扱事業者は、すべての個人情報の取り扱いについて、細心の注意を払わなければいけません。
ここでいう個人情報は、顧客だけでなく取引先や自社の従業員の情報まで多岐にわたります。
では、すでに亡くなっている方の個人情報については、どう扱うべきなのでしょうか?
今回はこちらの点について解説します。
亡くなった方の個人情報は法律の対象になるのか?

個人情報ともっとも関連の深い法律といえば、真っ先に上がるのが個人情報保護法です。
JAPHICマーク取得企業は、当然こちらの法律をもとに個人情報保護体制を構築しますが、亡くなった方は個人情報保護法の対象になりません。
つまり、生存している方の個人情報と同じように管理・使用する義務はないということです。
こちらは当然、冒頭で触れた顧客や取引先、従業員の個人情報のいずれにも当てはまることです。
亡くなった方の個人情報が法律の対象になるケース
亡くなった方の個人情報は、原則個人情報保護法の対象にならないという話をしました。
しかし、亡くなった方に関する情報が生存する方の個人情報と関連する場合は例外です。
このようなケースでは、生存する方の個人方法という扱いになり、個人情報保護法の対象となります。
つまりJAPHICマーク取得企業は、自社の強固な個人情報保護体制により、これらの情報を管理・使用しなければいけないということです。
例えばJAPHICマーク取得企業が、亡くなった方の預貯金や不動産など、相続財産についての情報を保有しているとします。
こちらの情報は、その遺族にとって個人情報になり得る可能性があります。
出生前の胎児に関する個人情報の取り扱い

JAPHICマーク取得企業は、亡くなった方の個人情報に個人情報保護法を適用させることはありませんが、一部例外があります。
また、現時点で生存している方の情報は当然法律が適用されますが、まだ生まれていない胎児の情報はどうなのでしょうか?
こちらに関しては、出生時に個人情報として保護されるようになります。
つまり、出生前の情報であっても、いずれは個人情報保護法の対象になるということです。
もちろん、出生前の胎児の情報を保有するJAPHICマーク取得企業は、医療機関など一部に限定されていますが、実際取り扱うことになった場合は注意が必要です。
亡くなった方の個人情報を雑に扱うのは×

いくら個人情報保護法の対象外とはいえ、JAPHICマーク取得企業は、亡くなった方の個人情報を雑に扱ってはいけません。
たしかに、生存している方と同じように管理・使用する義務はないかもしれません。
しかし前述したように、亡くなった方の情報はその遺族の個人情報になる可能性があります。
また亡くなった方の情報から、遺族本人の個人情報が漏れる可能性もあります。
例えば、故人が保有していた不動産については、その遺族である相続人が引き継ぐケースが一般的です。
このとき、“この土地は故人の○○さんのものである”という情報が漏えいすると、必然的に“この土地は相続人である○○さんに引き継がれる”ということが明確になります。
もちろん、このような個人情報の漏えいが発覚すると、JAPHICマーク取得企業は信頼を失ってしまうことが考えられます。
そのため、亡くなった方の個人情報についても、できる限り生存している方と同じセキュリティレベルで保管することが望ましいです。
まとめ
JAPHICマーク取得企業は、生存している方と亡くなっている方の個人情報について、どういった違いがあるのかを明確にしなければいけません。
かといって、明確に管理のレベルを上げたり下げたりはせず、そこは一つの個人情報として適切に管理することが求められます。
こちらは紙媒体でもデータでも同じです。
亡くなった方の個人情報であっても、漏えいすればトラブルにつながるため、決して気を抜いてはいけません。